研究における「勘」


野城 清

 基礎研究・応用研究のいずれにも「勘」が働かないと満足な成果は期待できない。
 「勘」にはその様な結論にいたった理由の説明ができない「直感」と理由の説明ができる「ひらめき」の二種類あるとされている。
 「直感」は過去の経験や知識から生まれ、最終的には結論だけがでてくるためにそのプロセスが説明できない。
 「直感」は視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚を超えて、ものごとの本質をつかむ頭の働きのことを指している。
 一方、「ひらめき」は論理的な思考で結論がでてくるため、プロセスが明確に説明可能である。
 
 英語でも両者は区別されており、「直感」はsixth sense 「ひらめき」はinspiration である。

 優れた研究には「直感」や「ひらめき」が必要である。
 換言すれば、「直感」や「ひらめき」が感じられない研究は極当然なもので、面白味の欠けたありふれたものである。
 
 過去の経験・知識が「ひらめき」の妨げになることもある。
 優秀な研究者を輩出するにはその研究グループのリーダーが自らの経験や知識をひけらかさない態度が必要である。
 筆者が大学の教員時代には学部生と大学院生とでは指導方法が大きく異なることを常に念頭においていた。
 学部生には苗と耕作道具とその育て方を教え、大学院生には種と耕作道具を与えることが必要である。
 特に変化の激しい時代を生き抜くためには必要な対応と考えている。
 
 20世紀後半から21世紀にかけて科学技術も大きく変容を遂げている。
 将来が予測できる線形の時代から将来が予測のできない非線形の時代へ、知識が役立った知識の時代から知識ではなく
 知恵が要求される時代へ、論理的な思考が得意な左脳の時代から芸術的、創造的な右脳の時代へ等々多くの表現があるが、
 革新的なプロセス開発には過去のことにとらわれない 「ひらめき」が必要となってくる。
 
 具体的には20年前にスマホ、携帯電話、カーナビの出現を誰が予測できたであろうか。
 コンピュータなるものが世の中に出現したのは第二次大戦直後の1946年であり、当時ENIACの開発を担当した
 IBMのワトソン会長はコンピュータの市場は世界で5台程度であろうと言ったとされている。
 開発されたコンピュータが重さ:30t、135㎡以上の大きさ 、140kWの消費電力で、演算速度が5,000回/秒では
 経営者としては当然の結論であろう。
 
 通信手段の歴史を考えてみても電気通信以前はのろし、飛脚、早馬、手旗、郵便等があげられるが、電気が通信手段に
 使われるようになるとモールス信号、 電話、FAXから最近はメールが主流を占めている。
 しかし、10年後にはどのような手段で通信が行われるようになるのか、我々はまさしく非線形の時代に生きていることを
 自覚することが肝要である。
 
 このような時代におけるスマートプロセス学会の役割は革新的なプロセス開発・技術開発を通じて世の中に貢献することであり、
 そのためには「勘」を養うことが大切であることをあらためて強調しておきたい。
 
スマートプロセス学会誌 Vol.3 No.1 「學海」



日本学術会議 第一部ニューズレター

下記URLでご覧になれます。

http://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/1bu/index.html



物質・材料研究機構(NIMS) ナノ材料科学環境拠点(GREEN)

『第13回 ナノ材料科学環境拠点シンポジウム』のご案内


 平成28年4月に、従来のナノ材料科学環境拠点を内包する形で、新たにエネルギー・環境材料研究拠点
 (Center for Green Research on Energy and Environmental Materials:GREEN)が発足しました。

  今回のシンポジウムは熱エネルギーを主題として取り上げ、「理論、合成、計測に基づいた伝熱および熱電のデザイン」
 と題して、伝熱および熱電の分野で最先端の研究開発に携わっている研究者をお招きして、計算、実験の双方から研究動向を
 お話しいただくとともに、GREENを中心としたNIMSにおける伝熱材料および熱電材料の研究を紹介し、これからの材料開発の
 方向について議論します。


   日  時:6月22日(水) 9:30-17:30 (懇親会 17:30-19:00)
   場  所:NIMS並木地区 WPI-MANA棟 Auditorium
   言  語:日本語(資料:英語)
   参加費 :無 料
   テーマ :伝熱・熱電を理論、合成、計測からデザインする

   (シンポジウム詳細)
  http://www.nims.go.jp/GREEN/event/2016/20160512.html




平成28年度「きぼう」利用フィジビリティスタディ(FS)テーマ募集


  宇宙航空研究開発機構では、国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟の船内環境の特徴を最大限に活用して、
  国の科学技術イノベーション政策への貢献や自由な発想に基づく独創的かつ先導的で国際的に高い水準の研究を
  推進するため、FSテーマを募集しています。

  1.募集の名称:平成28年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマ募集

  2.募集の締め切り:平成28年6月30日(木)

  3.募集の対象
   ■ 国の戦略的研究募集区分(国の戦略的施策に沿った課題解決型の船内利用研究):
   ・「きぼう」を使ったヒトの加齢に関連するエピゲノム等の研究、
   ・臓器立体培養等の再生医療に関する「きぼう」利用研究

   ■ 一般募集区分(自由な発想に基づく船内利用研究):
   ・生命医科学分野
   ・物質・物理科学分野

  詳細は、宇宙航空研究開発機構のホームページを参照して下さい。
   http://iss.jaxa.jp/kiboexp/participation/application/2016_kibo-utilization-theme.html

  4.お問い合わせ先:
   一般財団法人 日本宇宙フォーラム 宇宙利用事業部 
   「きぼう」利用テーマ 募集係
    E-mail: kiboexp@jsforum.or.jp



一般社団法人 スマートプロセス学会事務局
〒567-0047 茨木市美穂ヶ丘11番1号 大阪大学接合科学研究所内
TEL:06-6877-5111(内線9337)
    06-6879-8698(直通) 
FAX:06-6878-3110
E-mail: spsアットjwri.osaka-u.ac.jp(アットを@に変更してご送信下さい。)

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